オウンドメディア奮闘記

はじめに

初めまして。今年の5月に入社した芳賀と申します。

弊社には、「play HYPER CUBE」というオウンドメディアがあります。(今皆さんがご覧いただいているこのサイトです。)

playは、「遊び」が「予防」になる社会をつくる。をビジョンに掲げるHYPER CUBEの個性豊かなメンバーが、日々考えていることや試したこと、遊んだことなどを発信するメディアです。

オウンドメディアと呼ぶのもおこがましいくらい適当な運用なのですが、なんやかんやでサイトをリニューアルし、運用方針についても改めて再定義しました。

ー運用方針についても再定義しました。ー

いえ、方針など元々無いに等しい状態でした。

そんな状態から、運用されていると言える状態に持っていくまでの奮闘記をご覧いただければと思います。

面倒な仕事

入社してすぐ、playというサイトがあることを知りました。入社前に知らないってどんなサイトやねん。

こんなサイトあったんだ、作って放置のよくあるやつかな?Wikiをついでに社外にも発信的な?とか思ってました。

ちょうどそのタイミングくらいで「playの運用手伝ってあげて」みたいなことを言われて…。んー、なんかタスクを振られるまでは黙ってようと考えておりました。

僕はスタートアップ広報には少し知見があるのですが、スタートアップ企業(に限らず中小企業)がまず第一にやるべきことはHPのNEWS更新です。これすら更新できてない会社がSNSだの、ブログだのを定期的に更新できるわけがありません。なおかつHPはステークホルダーがどんなアクションをする上でも必ず通過するメディアになるので、ここが情報の大本営でなければなりません。

さて、HPのNEWS更新すらできていない会社のオウンドメディアのお手伝いをお願いされた僕はまずは情報収集することにしました。

とりあえず上がっている記事を拝見し、技術記事を中心にHYPER CUBEでこんなことやってますみたいなのを発信したかったのかなーと。

そこでplayの目的を尋ねてみることにしました。

なんと返答されたかはよく覚えてないんですが、定期的に更新していきたいということは言っていた気がします。

………。目的がぼやっとしてるのかー、そこ深掘りすると面倒くさいことになるからとりあえず進捗の追っかけ程度にしていくかー(進捗の追っかけをしてほしいというオーダーもあったので)

てな感じで、既にチケットを切られている執筆タスクのスケジュール設定をすることにしました。

この日程までにここまで考えてください、ここを埋めてくださいなど、一問一答で答えるだけで記事が出来上がり!くらい丁寧にスケジュール設定してやりました。

しかし、返ってきたリアクションは

「なんか書くことになってるけど、これ仮で設定されてるだけで俺のタスクじゃないんだよね。」
「義務っぽい感じで書くより、書きたくて書いてる状態が望ましいよね。」
「これ、書かないとだめですか?」

キィィー!

面倒なことになったなー、定期的に更新する意義が共有されてないとこうなるよなー

まあよくあることです。とりあえずやってみようではじめてみたものの、何の成果につながっているのか、どういう効果があるのかが不明なままやるとこうなります。非常に良い例を見させていただきました。

なぜそれをやるのかを説明できないとお願いするタスクの優先順位づけもできないので、やはり目的を改めて定めることにしました。

目的を定める

さて、まずは目的を決めるためのミーティングの設定からです。

誰を招集すればええんや…。

とりあえずそれっぽいメンバーを集めてみました。

・Bizdevリーダー:ハイパーキューブの最古参メンバー。過去に弊社のWantedlyストーリー書いてた。playの隊長らしい。
・先輩PM:現時点でのplayの運用・開発担当者。僕にplayのタスク振ってきた人。
・エンジニアリングマネージャー:執筆タスク振ろうとしたら待ったをかけてきた人。MVVの作成にも携わってた。カルチャーへの思い入れが強い。
・僕:入社したてのPM。広報には多少詳しい。

第一声は「このミーティングの目的って何?」でした

キィィー!

ミーティングの目的は明確な状態を求めるくせに、オウンドメディアの目的は不明確な状態なのは腹が立ちましたが(冗談です)

進捗を管理するにも、なぜそれをやるのかが説明できないとタスクの優先順位が決められない、ので目的と背景を説明できるようにしたい。ということを説明。

そこから約1か月、喧々諤々のミーティングの日々でした。

最初のミーティングでは、各々考えていたことやこうあるべきみたいなのを発散しました。ミクロの話からマクロの話までとりあえず考えをざっくばらんに共有しました。

次のミーティングでは、オウンドメディアって何のためにあるのだろうかということを他社の運用事例などから確認。主に採用・リード獲得・ブランディングを目的として目標設定をしている事例が多かったです。そして、運用の鉄則は目的を決め、目標設定をせよというのは共通しているみたいでした。

さて、翻って我が社のオウンドメディアは何を目的に運用するのかというお話に。

広報は組織課題に対応してその在り方を変えていくべしという教えがあったのでその教えに従い、まずは組織課題はなんだろうというところからスタート。

ちょうどつい最近バリューの刷新があり、そこで既に議論されていたのでタイムリーなトピックではありました。バリュー刷新後に僕は入社しているのでそこの形成過程は知らないのですが、兄さん方が優しく教えてくれました。

要約すると「遊び」を基軸にしている会社なのに、遊び心が足りないよ、ということでした。

バリュー自体がこういうことをもっと積極的にやっていきたいよねという思いが反映されたものになっているため、裏を返すとそれが足りないということでもあります。もちろん、普段からできていることも、できてるけど大事だよね当たり前になってることが素晴らしいよね価値があることだよねという要素もあります。「こうなりたい」と「これを忘れないようにしよう」が半々くらいですかね。

“遊び心を大事にしよう”

このバリューは割とみんなお気に入りで、ハイパーキューブらしさがあって良いよねと言われています。一方で言うは易しで体現はなかなか難しいものです。「仕事」という論理性を求められるものに対し、「遊び」という非論理的なものを並立させるのは簡単ではありません。

ただ、実はみんな遊び心を持ち得ているけどそれが見えにくいだけなんじゃないのという話に。

このバリューには付随して、”「好き」や「面白い」を基にして、「遊び心」を生活や仕事に活かそう”という言葉が続きます。

何かに没頭したり、こだわりがあったり、これだからやめらんねえんだよなーとか思ったり、意外と日常にそういうものは隠れていたりするんじゃないでしょうか。

このあたりでMVVの浸透やバリューの体現みたいなところを目的に置こうという方向に。つまり、普段している行動がMVVにつながっているよね、ということを再認識する場として機能してくれればいいなと。

採用やリード獲得などを成果目標として設定してしまうと、金銭的価値や費用対効果がすぐに数値化しやすい分、しんどくなってくることは目に見えていました。そしてそうなるとやる意味があるのかとか、外注すればいいとか、もっといい施策があるんじゃないかとか、常にそういう視線にさらされるわけです。

僕自身、オウンドメディアの価値は情報がストックされていき、後世にわたって価値を生み出しうる可能性のある資産を形成していくことにあると考えています。情報というものは後になってみないとその価値というものは図れないものです。そういうものに対して、短期的な価値を求めると、継続することが非常に難しくなってしまいます。(どこかでよく見る問題ですね、学術的な分野とか。)

ちょうどいい大義名分を見つけられたなーと思っていたのですが、なんとすでにオウンドメディアの大家が「内向きの目的を設定しておくとしんどくないよ」というのを書いてて、巨人の肩に乗るって大事だなと思いました。車輪の再発明をしてしまいました。

そんなこんなで決まった運用コンセプトは「そこに遊びはあるんか?」です。(………………愛が~いちばん~)

もっと、お前の遊び心見せてくれよ!持ってるんだろ!遊び心!そんなメッセージ性を感じますね。

あとは執筆ルールとして、MVVの各項目に沿ったタグを作り、書いた人がその記事につけるタグを選ぶことにしました。

これによって、各々の日々がどうMVVに結びついているのかというのを少しでも意識してもらえたらいいなと思ってます。

ようやく土台が固まってきました。

コンセプトとルールを決めるだけでは勝手に記事は生まれませんので、メンバーのみんなに記事を書いてもらう必要があります。

そこで月に3人の執筆者を割り振って記事を書いてもらうことにしました。同じタイミングで執筆しているメンバーがいることで、他の人の進み具合だったり、どんなこと書いてるのかなーとかをのぞき見できるようにしました。また、周りも書いてるから自分も書かないとなという意識も働きます。

書いてーってお願いするだけでは人はなかなか動きませんので、週に1回執筆進捗共有会なるものを開催することに。ここで他の人の進捗やどんなこと書いているかを見たり聞いたり、つまずいてることやこれって書いていいんだろうかみたいな手が止まる要因を減らせるようにしました。

そして肝心の「何を書くのか」ということですが、自由!です。

ただ、一つだけルールを設定しました。「そこに遊びはあるんか?」に答えられるかどうか。執筆者本人の遊び心が記事から垣間見られるかがポイントです。

とまあ、そんな感じで運用方針が定まったのでいよいよ運用スタートです。

運用開始

実際にこのスタイルで運用を始めたら、進捗共有会は想定通りに機能してくれました。また、記事テーマの選定も意外とみんな自分で持ち寄ってくれてます。ウンウン、良い光景。

自分で決めたテーマなので皆さん結構順調に書き進めます。何書くか自由にして本当に正解でした。

ちょいとアドバイスとして、めちゃくちゃ主観を入れて書いてくれというのは伝えてあります。頭の中で思ったことをそのまま書いてほしいと。

これは運用メンバー(MTGしてた4人)でまず執筆してみようということで一度書いた際に、chatgptを入れて書いてみたんですが、他人事みたいな文体になり、見事につまらない文章が完成してダメダメコレッとなりました。なんかその人らしさみたいなのが消えちゃうんですよね。読んでて執筆者と対話してる感が無くなってしまいました。

そういったことを始めに伝えているので、ほんとみんな自由に書いてくれるので文体からして遊び心にあふれています。その人が何を感じて、何を思ったかをそのまま表現して書いてくれています(多少格好つけている部分もあるだろうけど)。僕自身も読んでいて面白いですし、社内でも面白がって読んでいるという声がちらほら。メンバー同士で面白がって読んでくれたらいいなと思っていたので、ニンマリ。

あと、外部的な成果指標を置かなくて本当に良かった。これがあったら記事テーマの選定の際に「自分らは面白いと思うけど、外から見て面白いと思うのかな」とかを考えていたに違いありません。今は成果は考えなくて良いのです。

まずは定期的に記事が生み出されるサイクルを確立させること。これがファーストステップです。オウンドメディアを開設して3か月か半年くらい頑張ってその後更新が止まるみたいなのは数多見てきました。たぶんオウンドメディアの95%くらいはそんな感じだと思います。1年以上継続出来てたらだいぶ凄いと思います。まず継続して定期的に更新させることが非常に難しいのです。

とにかく書く。継続させる。そのファーストステップを越えることができるかが、今の段階です。

KPIは強いて言うなら、月3本の投稿、といったところでしょうか。

ただ、継続しているうち、成果が出ているのかはいつか問われてくると思うので、そのための導線設計は今取り組んでいるところです。現状、playというサイトにたどり着くまでが困難であることと、playからなんらかのコンバージョンにつなげていく導線が組まれていないので、そこの下地は作っておきたいと思っています。ある程度継続できたタイミングで、こういう変化が起きているみたいな振り返りをしていきたいなと思っています。

そんなこんなでスタートしたオウンドメディアの運用はいったいどこまでいけるのか?

乞うご期待ーー

※オウンドメディアの大家:株式会社ベイジ『オウンドメディアの成功法則を全6万字で徹底解説(戦略・記事・運用・認知のポイント)』(https://baigie.me/officialblog/2023/02/20/owned-media/


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