悲報「ゼロレイテンシー」サ終!!

悲報「ゼロレイテンシー」サ終!!

はじまり

「ゼロレイテンシー、サービス終了するってよ」

悲報は突然告げられた。
私の記憶が正しければ、マネージャーミーティングの最中だったと思う。誰の発言だったかまでは定かでない。
たしか、今年の社会科見学はどうするかの話題が上がっていて、弊社では”社会科見学”という社内イベントで過去2回ともに[Zero Latency VR]を体験しているので、HPを見た誰かが発した言葉だったと思うが、あまりのショックに記憶は曖昧だ。
ただ、不幸中の幸いというか、怪我の功名というか、せめてもの救いというか、九死に一生というか、神は私を見捨ててはいなかった。
ミーティング後に急いで公式HPを確認した私は、営業終了までの残り4日の内に予約枠が残っているのを発見した。しかも、次の日の金曜の午後にも空きがある。
すかさず私はGoogleカレンダーを確認した。明日の午後、夕方の予定はない!一旦落ち着いて、冷静に考えたが急ぎのタスクもない(はず)!
「サイトーさん、明日行こうぜ!」
私は以前にゼロレイテンシーの「FAR CRY VR」をやりたいよねと話していたサイトーさんに声をかけた。

「えっ!どこにですか?」
「ゼロレイテンシー、明日空いてるから行こうよ!」
サイトーさんは一瞬目を丸くして固まった。
「マジで!?空いてんの?」
私の言葉を聞いたマスミさんが割り込んできた。
「夕方17時が5人、16時だと4人空いてますね」
予約サイトを確認しながら私は答えた。
「いきたいなー!・・・あーでもその時間打ち合わせが入ってるわ。。」
マスミさんはショックを隠しきれない様子だ。
「ほんとに行くんですか?」
サイトーさんがGoogleカレンダーを見ながら聞いてきた。
「行くよ、夕方なんか予定ある?」

サイトーは暇だった。

似たようなやり取りをオフィス内で何度か交わして、参加者を募った。
経験者の私とサイトーさんの他に、未経験の3人が集まった。

あらゆるゲームを一通りやってきた熟練ゲーマーマツオ(プランナー)。
新宿のゲーセンでスト6の筐体に陣取り、老若男女、外国人の挑戦者を跳ね除け続ける大魔王コサカ(エンジニアリングマネージャー)。
一回はやった方がいいよ!と言われ半ば流され気味に参加するの若手プランナーエイト。
そして、ディズニーオタでそこそこのゲーマー(エルデンリング好き)のPMサイトーは2度目のゼロレイテンシーだ。
私、カワムラ(PM)は前職のクローカ時代から数えて4度目の参戦だ。ちなみにゲーム歴は大したことない(過去一番ハマったのはギレンの野望PS1・2版)
結果、なんともまとまりのないの5名の即席パーティーでの参戦が決まったのだった。
少し気になるのは、すでに予約されていた1枠。さてどんな方が参戦されるのか。。

写真は2022年7月


ゼロレイテンシーVRとは

ここで「ゼロレイテンシー」の紹介を簡単にしておく。
正式名称は、『ZERO LATENCY VR』(ゼロ レイテンシー ヴィーアール)

簡単にいうと、VRゲームなのだが、自由に歩き回ることができるのと6人同時協力プレイが特徴のシューティングゲームなのだ。

時間帯によってコンテンツ(タイトル)が違うのだが、今回予約できた回は、2020年登場の『UNDEAD ARENA』だ!
筆者は初プレイのタイトルとなる。

UNDEAD ARENA VR

引用元:https://www.pr-today.net/a00307/opr/792/

ストーリー概要

要するに、ド派手にゾンビを撃ちまくれってことですな!


お台場上陸

5月10日金曜日の夕方、りんかい線東京テレポート駅。

地上に出た私の頭の中では、踊る大捜査線のテーマが流れていた。
私にとってお台場は、いくつもの思い出がある場所で、降り立つと懐かしいと一言ではいえない複雑な感傷を想起させる街だ。

湾岸署が空き地署と言われていた時代のこと、学生時代に水上バスで行って遊んだこと、パレットタウンの観覧車に乗ったこと、アクアシティで何かの映画を観たこと、ビーナスフォートでのショッピング、休日にクライアントから呼び出された人気のない巨大ビル、実物大ガンダム、フェリー乗り場から徳島への出航、ももクロのZeppライブ、クローカ時代に特撮スーツを着て炎天下で撮影したこと、HYPER CUBEのみんなで行った日本科学未来館、チームラボ、バーベキュー・・・。
頻繁に訪れるわけではないが、要所要所での思い出が強く残っている街である。
新しい最新の街であったお台場最盛期から時は流れて、今では懐かしくもあり、いくつかの施設は少し古びた印象も感じられる。

お台場のデックス東京ビーチにあるジョイポリスもその一つで私が大学生の頃にはすでにあった施設だが、最新で今時な雰囲気を一生懸命繕っている。何度も訪れたことのある私にとっては、それですらノスタルジーを誘うのだった。
その新しくて古いジョイポリスの一階最深部にゼロレイテンシーVRのブースがひっそりとチャレンジャーを待ち構えている。

時間より少し前に辿り着いた謎のパーティ5名は、言葉少なに開始時間を待っている。これから始まるバトルを前にしての緊張感からくるものか、はたまた単純に話すことがないだけなのか。
そして、先に予約していた1名のことも気になる。大して会話も弾まないこのパーティに初対面の人が馴染むことができるのか。大いに不安だ。

数分が過ぎた頃、何処からともなく現れた黒い制服を着た女性が私たちに声を掛けてきた。
「参加者の方たちですね?」
私が、スマホでリザーブメールを提示すると、女性はタブレット差し出し、各自の名前を入力するように求めてきた。
タブレットでプレイヤー名を登録すると、待機室へ誘導され、ロッカー私物を入れるように言われた。
バッグは勿論、腕時計やアクセサリーも外して入れなくてはいけない。情報流出を防ぐためかスマホもNGだ。
半円状に並んだ椅子に座らされた私たちの前に司令官が現れ、ブリーフィングを始める。

先に予約したもう1人は、間に合わなかったのか!
だが、謎の組み合わせではあるが、これから命のやり取りをするとなると、知った人間だけというのはほっとするものを感じた。

だだっ広い空間の真ん中に柱が1本建っている。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着すると、目の前は真っ暗だ。
しばらくすると、暗いが奥行きが見える中に白い光の粒が浮かんできた。
少し離れた床に光の輪が浮かんで、その中に移動するように促された。
輪の中に立って少しすると、私たちは異世界へ転送された。
視界が明るくなった瞬間、私たちはアンデッドアリーナの世界にいた。
メンバーの姿は皆、カラフルな仮面と防具を着けて顔はわからない。まるでマッドマックスか北斗の拳に出てくる強奪者たちのようだ。
鉄骨、鉄パイプ、金網、鉄板で床や壁が作られた寂れた工場のような施設だが、ピンクや紫のライトが近未来のような印象だ。
バーチャル空間だとわかっていても緊張感が高まってくる。

プレイ開始

ついにバトルが始まった。
中央の塔を中心に、5人は程よくばらけてそれぞれの持ち場らしき場所についた。
そして塔を背にして、外側に向くと金網や壁でぐるりを囲われているが、入り口らしい場所はバリケードで封鎖されている。
そのバリケードの奥は奥行きがあるのはわかるが、暗くてどうなっているのかはわからない。ただ怪しい雰囲気なのはわかる。

すると突然、その暗がりからゾンビが一体のそのそと現れた。
やはりここから来るのか!と思いつつ、ゾンビに銃口を向けて引き金を引いた。
なかなか狙いが定まらなかったが、なんとか一体目を倒すが、その後から二体目、三体目と次々とゾンビが続いて現れる。
ゾンビはバリケードに阻まれるが、すぐに乗り越えてこちらに向かってくる。
オレはゾンビに向けて、「自動小銃モード」の引き金を引き続けた。
なるべくゾンビの頭を狙う。その方が早くゾンビが倒れるし、得点もプラスになる。

倒し続けていると何となく法則が見えてくる。
5〜10体くらいのグループで次々と現れる。その中には1〜2体は動きが早く、バリケードを乗り越える動作も早いものがいる。
また、他のゾンビよりも頭一つ二つ分身体がデカいゾンビも混じってくる。デカいやつはHPも多いようで、他のゾンビよりも倒すのに時間がかかる。
そして、その集団を倒すと少し間が空く。
その間に、ゾンビが出てくるバリケードを注意しつつ、四方をぐるりと見回した。メンバーも各個応戦しているようだ。
エイトが苦戦しているのか、マツオが無線で声を掛けている。彼らはオレから見て左の方にいるようだが、塔の死角で姿が見えない。
「ヘルプに行った方がいいのか」
今考えれば無線で呼び掛ければよかったのだが、使いこなせていなかった。
それにいつまたゾンビたちが突撃してくるかわからない不安から、持ち場を離れることを躊躇してしまう。
バリケード前で抑えないと背後を取られる可能性もあるからだ。

「やべやべぇ!」
大魔王コサカの声と共に、ヘッドフォンに警告音が鳴った。
右側を向くとすぐ目の前にコサカが近づいていてぶつかる寸前だった。
プレイヤー同士が近づきすぎるとぶつからないように音で警告されるのだ。
コサカの背中の向こうには無数のゾンビが迫っていた。バリケードを突破されたのだ。
しかもバリケードだけでなく、その横の建物の二階の屋上からもゾンビが降ってきた。

オレは横から加勢し、迫り来るゾンビに向けて引き金を引いた。
次の瞬間、私が抑えていたバリケードの方角からもゾンビたちが出てきた。
オレはコサカのフォローを諦め、元の方角に向き直ってゾンビたちのヘッドショットを狙って撃ちまくる。
しかし!ゾンビたちの動きがさっきよりも早くなっている。
自動小銃モードで撃ち続けているが、何体かバリケードを越えられるようになってしまった。
デカいゾンビに苦戦する。私の目の前まで迫ってくる。ギリギリで倒す。
そうなると雑魚のゾンビを倒す暇がなく、近くまで迫られる。
なんとか一群の突撃を凌いで、みんなは大丈夫かと背後を振り返った。
「うわあーーー!」
目の前にゾンビがいた。驚いた私は悲鳴に近い叫び声を上げた。
「カワムラさんっ!」
エイトが呼ぶ声が聞こえた気がする。。
実際には「カワムラさんwww」のニュアンスだったような気がしたが、そんなことに気を取られている場合ではない。
必死に銃の引き金を弾き続け、次々と現れるゾンビの頭に銃口を向けた。
「まだだ、まだオレは死んでない。まだやれる」
目の前のゾンビをなんとか倒した私は心の中でつぶやいた。

オレはバリケード方向だけでなく、二階から降ってくるのがわかったため、上方、左右、そして背後とあらゆる方向を警戒し、引き金を引き続けた。
何度ゾンビの群れを撃ち伏せただろうか。
ゾンビの群れが止まった。
MCの声が聞こえる。
イベントを盛り上げるようなテンションで、第一ステージが終わったことと、我々が生き残ったことを観客に大仰にアナウンスする。
そうか、これは見世物なのか。オレたちが挑戦者でゾンビに殺されるか、ゾンビを全て倒してオレたちが生き残れるかのバトルロワイヤルなのだ。
観客たちはオレたちが生き残っても、ゾンビに喰われて全滅してもどちらでも興奮する。残虐ショーを見たいだけなのだ。
そう思うと絶対に生き残ってやると、怒りにも近い闘志が湧き上がってきた。

イヤフォンから聞こえる指示に従い、3人と2人で二手に別れて、エレベーターに乗る。
エレベーターは上階へと昇っていく。
その途中に中央の塔にディスプレイが設置されていて、私たちプレイヤーの得点が掲示されていた。
コサカが断トツで一位。私は3位だった。

第二ステージ

二階へ着いて周り見回して、どこからゾンビがやってくるか見当をつける。
狭いエリアだが、3方向に怪しい箇所がある。
一緒にエレベーターに乗ってきたマツオとエイトで背中合わせで応戦すれば良さそうだ。
コサカとサイトーがいる場所は、地続きではない。中央にフロアがあるが通路がなく、どうやってそこまでいけばいいのか。

そうこうしているうちに第二ステージが始まった。
予想通りの方向からゾンビたちがやってくる。
3人で難なく倒す。余裕、余裕。楽勝。
向こう岸の方で、コサカとサイトーの苦戦する声が聞こえる。
何度か死んだようだ。
助けに行きたいが、向こうまで渡る通路がわからない。
向こうまでジャンプすればいいのか、しかし失敗すると死ぬ高さだ。
中央部に渡るエレベーターを見つけたが、それにゾンビが乗ってくる。
ゾンビを倒すとエレベーターは戻っていくので乗るタイミングが合わない。

仕方なく、こちらからコサカ&サイトー側を援護射撃を試みる。
多少は加勢できたと思うが、焼石に水のようであった。

ちなみに、二階に上がるエレベーターの中で、「ボウガン」が威力があると聞いたので、第二ステージはボウガンモードで戦った。
連射速度は遅いが、確かに威力はあるようだ。
ただし、連射が効かないので、何度も引き金を引く内に右手の人差し指に力が入らなくなってきた。

その後、こちらの3人は難なくやり過ごしながら、コサカの「うわー死んだ!」と「無理無理」を何回か聞いたあと、第二ステージが終了した。
ついに、このバトルロワイヤルを勝ち残ったようだ。
生き残った喜びと、第二ステージのやりきれなかったフラストレーションがないまぜになって、微妙な心情だ。
強いて言うならば、「もう一回やりたい!」だ。
だが、あと2日でサービス終了。土日にひとりで参戦する程の情熱はなかった。

ブースから出て右、入り口横のスクリーンにスコアが表示されていた。
大魔王コサカがぶっち切りで1位。6回も死んでるのにこの高得点!第二ステージでゾンビが多めだったことを考えてもどうやったらこんな数をキルできるのか意味不明。さすが大魔王と言わざるをえない。
2位はマツオだ。流石いろんなゲームをやってきただけの腕前。
3位は私、河村。まあそこそこ。第二ステージが悔やまれる。。
4位はサイトー。キル数は私より1つ多いが、ヘッドショットとデス数で差がついた。
5位はエイト。虫も殺さないような人の良さがプレイに出たということだろうか。でもデス0はグッジョブ。

感想

約一年振りのゼロレイテンシー体験だった。
久しぶりにプレイしたが、やはり面白かった。
目の前に広がる世界がVRだってわかっているし、CGのクオリティもそこまで高いわけではないのだが、ゾンビが出てくると怖いと感じるし、急に出てくれば驚いてしまう。だから手に汗握るほど興奮する。
ゾンビが迫ってくるとか、エレベーターで二階に上がるとか、高いところから下を見るとか、CGのクオリティの問題ではなく、それしか見えないのと、自分の動きが連動すると、それが本当のように感じる。脳がバグってる感じ。これがVRの面白さなのかもしれない。

また、参加メンバーのスキルによって面白さが違ってくるのかもしれない。
今回、スキルの高いメンバーが2人もいたので、より面白く感じられた。
やはり、ゲーム自体を攻略できると、ゲームの面白さや達成感をより感じられるのだと思う。
後悔というか、反省点もあった。
最後だからもっと動き回ったり、いけなさそうなところにも行ってみればよかった。
もっとみんなで声で連携とれればより楽しめたのかもしれない。個別で動いていたのが勿体無い。

今回、運良く?ゼロレイテンシーVRのサービス終了に気づいたので、最後に体験することができた。
2016年から合計4回体験したが、もっとやっておけばよかったと思った。
今さらながら、もっとやりたいと思った。「FAR CRY VR」やりたかった。。
あって当たり前、いつでもあるものだと思い込んでいたけど、なくなって気づく大事なもの。それがゼロレイテンシーVR!
でも最後にプレイできてよかった。VRの楽しさと可能性を教えてくれた。
ありがとうゼロレイテンシーVR!
跡地には、ゼロレイテンシーを超えるVRアトラクションができるのを切に願う。


なんとなく、そのまま帰るのもつまらない気がした。
感想を言い合いたかったのか、ダイバーシティで食事をして帰ることに。
アンデッドアリーナの感想から、ゲームの話になり、最後には社会科見学でこういう遊びをやりたいなどの話になった。
遊びを体験した直後のアイデアは熱く、そして議論も熱を帯びた。
遊び直後、そしてその遊びが面白かった、だから私たちはもっと遊びを欲したのだ。
楽しさを、興奮を、スリルを、今感じたこれらを上回る遊びを渇望したのだった。

実際に遊びを体験するのは面白い。楽しい。
脳が活性化する感じがした。
面白い遊びは新しいアイデアに繋がるかも。いや繋がるはず。
私たちは「遊び」を大事にしていきたい。

文・河村


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